Return to forever

Chick Coreaのアルバムを聴いている.

音楽については全くこれと言った知識を持ち合わせていないが、Chick CoreaのReturn to Foreverは完成度が高く、何回聴いても引き寄せられる. タイトルも哲学的だ. 1971年の作品というのもいい.

学生の頃、英語を使う仕事がしたい、そのためには海外に行く機会がある旅行会社がいいと考え、旅行代理店の試験を受けた. しかし、悲しいかな、ウェストミンスター橋で先に行けなくなった.

小説や哲学書は何百冊も読んだことがあったが、ウェストミンスター橋がどんな形をしていて、どこにあるかなど、全く知る由もなかった. 英語での面接試験はそこで終わり、この夢は潰えた.

しかし、1990年〜2005年まで商品企画の仕事をしているとき、嫌というほど英語漬けになった. 最初はゆるやかだったが、そのうちシリコンバレーのベンチャー企業との取引が入り、次々に拡大していった. 自分自身、何をどうしたかったのかさっぱり説明しようがないが、これにシンガポール、オーストラリア、ニュージーランドなどのAsia Pacific取引先が加わり、さらに米国東海岸の親会社との対応も必要になった.

最初、Adobe社やApple社など名が知れた企業の傍でシリコンバレーのベンチャー企業と取引できるのは誇りに思えたし、実際、勉強にもなった. Intel社の近く、Lawrence Epy脇のResidence Inn by Marriottはとても気に入った. それに、知人の弁護士がXerox Parkにいたので、時々、会いに行き、いっしょにMountain ViewやSan Mateoで飲んで騒ぐのも楽しかった.

海外出張の頻度は、相手方が来日することを考慮し、4ヶ月に1回、1週間と決めていた. こうすれば、多くても2ヶ月に2週間・10日間だけface to face meetingをすればすむ. しかし、その考えは甘く、問題は山積し、3ヶ月に1回・2週間の出張になり、西海外に加え、東海岸にも行かなければならなくなった. おまけに、アイオワ州のデモインまで行き、商談を断ってきてほしいというような仕事まで入ってきた. 「それってどこにあるのですか?」と質問したら、「ほら、あの『マジソン郡の橋』の・・・」と返ってきた.

その頃までにface to face meetingだけでなく、電話やPicTelでの会議も増え、英語メールは一日で全部読みきれないくらいきた. やれやれ.

対策として、日本語で考えていると時間が足りないので英語で考え、メモを取るようにしたが、元々、頭の回路が遅いのでさらに遅くなる問題に直面した. 英語力アップのため、Audibleで小説やビジネス書の読み上げを購入し、通勤途中に聴くようにしたり、ペンギンブックスやハードカバー本などを毎月1冊は読むようにした.

しかし、それらの努力は、おそらく、学生時代にやっておくべきことだったかもしれない.

自分の頭の中では、そうした過去の思い出にしか過ぎないことが、時々、永遠に蘇ってくるような気がする.